卒業論文・修士論文の概要 2008年度

修士論文

金子 弘昌 新規ソフトセンサー手法の開発およびプロセス管理への応用
ポ リマープラントにおいては、一つのプラントで多種多様なポリマー製品を製造することが多い。そのため、製品切り替え(トランジション)の際、切り替え後 の製品における規格外のポリマー量を減らすことが重要となっている。各種のポリマー物性をオンラインで測定することは一般的に困難であるため、ソフトセン サーにより物性値を精度良く推定することで、物性値が規格内に入ったことをより早く検出することが望まれている。しかしトランジション中において、リアク タ内は非定常状態であるため推定精度は低下してしまう。そこで本研究では、ポリマー物性を推定する前にトランジション終了を判定するモデルを構築すること を提案する。そして、トランジション終了と判定した後に、対象となる銘柄データのみで構築された回帰モデルを用いて物性値を推定する。これにより、トラン ジション中のポリマー物性の推定精度が低下する問題を回避することができる。また、トランジション終了判定モデルにより推定精度を保証することで、トラン ジション終了直後のポリマー物性を精度良く推定することが可能となる。ケーススタディにより従来手法と比較することで、本手法の有用性を示した。
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後藤 俊 高機能ポリマー合成のための物性推算法と逆解析手法の開発
材 料開発においては、要求される特性を示す材料を合成するために、適切な原料・反応条件・加工法を選定しなければならない。しかしながら、これらは互い独 立ではなく、考慮すべきパラメータも多岐にわたる。そこで本研究では、ポリマー物性を決定する要因の中で原料モノマーに着目し、その構造から物性を予測す る統計的モデルを構築し、モデルの逆解析を行うことで新規ポリマー構造を提案することを目指した。複数物性の同時最適化を目指して、既存モノマーの組成検 討だけではなく、新規モノマーの構造生成も行った。モデル構築時のデータが目標範囲の近くに存在する場合には、組成モデルの逆解析により目標範囲内に多数 の候補を発見した。その一部は実際に合成されて、その物性値は予測値とよい一致が得られ、妥当性を確認することができた。組成検討では目標達成が困難な場 合は、原子団寄与法によるモデルの逆解析を行い、候補となる部分構造の組を見つけ出し、それらを構造生成アルゴリズムにより組み立てることで、新規モノ マー候補構造を得た。これらを既存のモノマーと組み合わせてポリマーを設計することで、今までに実現できなかった物性バランスを示すポリマーが得られる可 能性を示した。
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卒業論文

山城 直也 二酸化炭素吸収液のためのアルカノールアミン化合物の設計に関する研究
地 球温暖化対策のための即効性のある技術として二酸化炭素地中貯留技術が注目されている。この技術を実用的なものとするためには、二酸化炭素分離回収コス トの低減が必要不可欠であり、そのための取り組みが進められている。本研究では有力な分離回収技術である、二酸化炭素をアルカノールアミン溶液に吸収させ て回収する化学吸収法に着目し、分離回収コストを大幅に削減するアルカノールアミンを統計的手法によって設計することを目的とした。まずアルカノールアミ ンの構造を構造記述子によって数値情報に変換して説明変数とし、二酸化炭素の吸収速度や反応熱を求める回帰モデルを構築した。その結果予測精度の高いモデ ルを構築することができた。さらにこの回帰モデルを用いてコンピュータ内で仮想的に生成したアルカノールアミン構造の物性値を予測することで、二酸化炭素 吸収液として優れたアルカノールアミン構造を提案した。
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