卒業論文・修士論文の概要 2005年度

卒業論文

植村 圭祐 触媒性能の予測と新規触媒候補の提案に関する手法の研究
一 般に触媒作用は非常に複雑であり、触媒性能を支配する因子が十分に解明されていないことが多いため、性能の高い触媒を効率よく開発することは容易ではな い。そこで本研究では、触媒開発の効率向上のために、化学情報学の手法を用いた触媒設計支援手法の構築を行った。初めに触媒組成や反応条件などを説明変数 x、転化率と選択率をそれぞれ目的変数yとしてxとyの間で回帰分析を行う。回帰分析には安定した線形回帰モデルを構築できるPLS(partial least squares)法を用いる。十分な予測精度のモデルを構築できたら、転化率と選択率の二つの目的関数に対して多目的最適化を行い、パレート最適解を求め る。パレート最適解とは、他の目的関数の値を犠牲にしなければどの目的関数の値も改善することができないような解のことである。パレート最適解を求めるこ とで、転化率と選択率のトレードオフの関係を明らかにし、要求される触媒性能に応じて最適な触媒候補を提案することができるようになる。ケーススタディと して、プロピレンの酸素酸化によるプロピレンオキシド製造用Ag触媒について特許から収集したデータの解析を行い、新規触媒候補の提案を行なった。
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河村 智史 ケモインフォマティックス手法の精密農業への応用
近 年、「精密農業」の実現が期待されている。精密農業とは作物の生育やそのプロセス管理の場面にITを利用した農業システムの事である。農地の土壌や作物 の収量、環境汚染などに関する情報を解析することにより、生産性の向上や環境負荷の軽減を目指す。本研究では精密農業システムの実現において重要な役割を 持つ農業データのモデリングに着目し、温度、湿度、土壌スペクトルなどの測定が容易なデータから、水分量や有機物量などの測定が困難なデータを高い精度で 予測するモデルを構築することを目的とした。スペクトルの解析においては、変数間の相関が非常に高いことが問題となるが、本研究ではこの問題を解決するた めに、GAWLS (Genetic Algorithm-based WaveLength Selection) 法を考案した。GAWLS法はGAを用いてモデルの予測性を最大化する説明変数の組を領域単位で選び出す変数選択手法である。この手法を用いて、土中光セ ンサを備え付けたトラクターを農地で走らせて測定した土壌の近赤外反射スペクトルと、土壌分析によって得られた土壌パラメータ(水分量、有機物量など)と の関係を表すモデルの構築を行った。
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