高機能性ポリマーの設計

化学製品の中でもポリマーは多種多様な製品の材料として幅広い用途で利用されており、その用途によって要求される物性が異なる。そのため個々のポリマー合成において適切な原料・反応条件・加工法などを選定しなければならない。しかしこれらは互いに独立に制御できるわけではなく考慮すべきパラメータも多岐にわたるため、長年の経験を蓄積した現場の職人の勘に頼ることが多い。職人がいつも正しく判断できるとは限らず、知識の継承を行うことも難しい。また網羅的に各パラメータの値を振り数多くの実験を実施する場合も多い。

船津研究室では物性推算モデルの構築とそのモデルの逆解析により、要求される物性を実現する高機能性ポリマーを設計する方法論の研究を実施している。

一つの例として開発した方法論が複数のモノマーから合成される共重合ポリエステルの設計に応用された (下図参照)。共重合ポリエステルはトレードオフの関係にある複数の目的物性を持つ高機能ポリマー開発において用いられることが多い。まず単重合ポリマーのデータに対して原子団寄与法とRDF記述子を用いて予測的な物性推算モデルを構築した。またランダム共重合ポリエステルデータに対して組成や原子団寄与法による物性推算モデルを構築してモデルの逆解析を通じて複数物性の同時最適化を行った。さらに既存モノマーの組成検討だけではなく新規モノマーの構造生成によるポリマー設計手法の提案を行った。いずれの解析においても良好な結果が得られ情報化学的手法によるポリマー設計の可能性が示された。

なお企業においても、船津研究室で開発しており、化学データを用いた物性予測モデル構築とその逆解析を実施できるソフトウェアChemishを活用することで効率的に高機能材料が開発された例も多い。poly